ミュンヘン・ニンフェンブルグ植物園での展覧会
Kato & Kato

会期 2009年7月25日から9月13日迄 オープニング・7月24日18時
場所 ミュンヘン・ニンフェンブルグ植物園のウィンターハレと野外にて

加藤邦彦(彫刻家)と加藤温子(画家)の創作活動に於ける長年共通のテーマである「自然」、その中でも植物的モチーフを通して、二人はそれぞれの異なる捉え方で様々な自然の多様なフォルムを芸術に展開させています。
バイエルン州都ミュンヘンの素晴らしい環境に在るニンフェンブルグ植物園(Botanischer Garten München-Nymphenburg)で、ちょうど私達のバイエルン州滞在33年目の夏に展覧会が実現できる事になり、多くの協力者の方々ヘ深く心から感謝しております。

展覧会場ニンフェンブルグ植物園のウィンターハレ(Winterhalle)は天井の高い明るい広々とした空間で、ここで冬を越す大きな植物達が夏場に野外へ出ている間は、毎年いろいろなテーマ展が行われます。その周りの庭も展覧会場になります。
まさに私達それぞれの作品の源ともなっている植物の多様さを直接見る事ができる植物園での展覧会は、美術館や画廊での展覧会とは異なった特別な魅力があります。

この植物園にはドイツ国内の植物の他、世界各国から伝わった植物も多く、特に私達の生まれ故郷である日本から伝わった植物の多いことにも驚きます。
歴史的にも植物に於けるドイツと日本との関わりは深く、四季折々の多様な植物に恵まれた日本から、かつて江戸時代にヨーロッパに伝えられたた日本の植物は数多く、当時のオランダ東インド会社(Ost-Indische-Gesellschaft)から日本へ派遣されたドイツ人学者のエンゲルベルト・ケムペル(Engelbert Kaempfer, Lemgo 1651 – 1716)やフランツ・フォン・シーボルト(Philipp Franz von Siebold, Würzburg 1796 – 1866)等による植物学上での貢献は多大です。ニンフェンブルグの美しい植物園で、私達にとっては懐かしい数々の日本の植物にも出会う事が出来ます。以前から私達もすでに何度かこの植物園を訪れており、1986年から温子のメイン・テーマになっているイチョウをも見つけ、それは何本か脊の高い木に成長してこの植物園内西側に植わっています。

加藤邦彦の彫刻は主に、花崗岩などの自然石や様々の木の素材を使って制作されており、
その作品は「生き物(Lebewesen)」という一連のタイトルがついています。邦彦の作品群は自然の多様さや生命の営みへの感銘を、独自な解釈で抽象的・有機的なフォルムに置き換えて石や木に刻み丹念に磨きあげたもので、自然と芸術の融合への成長を望んでいます。
ドイツ国内や外国から産出された様々の色の花崗岩(Granit)、ラブラドール(Labrador)、玄武岩(Basalt)、Muschelkalkstein(貝石灰岩)から成る石彫の内、クレーンが必要な重い大きい作品は庭に、それ以外の石彫と木彫をウィンターハレに展示します。
ウィンターハレの中央には、世界のいろいろな石材で制作した「水滴シリーズ」を、小石と砂を使って「ニンフェンブルグの湖」の形をなぞって造形した中に配置してプレゼンテーションします。「水」が全ての生命維持に大切な物である事を、静かに示唆する石彫のインスタレーションです。また訪問者が展覧会場にてちょっと休息できる空間になるように考慮しています。
木彫作品は、カシ(Eiche)、ニレ(Ulme)、ボダイジュ(Linde)、ナシ(Birne)、サクラ(Kirsche)、トネリコ(Esche)、クルミ(Walnuss)、スギ(Zeder)などの自然木を素材にして殆どが一木彫りで、邦彦の手をかけた「生き物達」です。
近年の環境異変で突風に倒れたり災害にあってやむなく伐採されてしまった古い年輪の木材で、大きな木彫として生き返った「生き物」も何点かここに展示します。
植物園で生きたオリジナルの木を御覧頂き、そしてこれらの彫刻も見ていただき、それぞれの樹木による特徴や多様性を立体彫刻の多様性と共に鑑賞いただければ嬉しいです。

加藤温子は、これまで主に絵画・版画(Malerei & Grafik)の分野で創作活動を続けていますが、写真・詩の書・インスタレーションもその傍らで同時に行っております。写真はもともと1986年来続けているイチョウ・ドキュメントのため、各地で撮影記録した時に見つけた他の植物や自然のモチーフも多くあります。
ウィンターハレの広々とした明るいガラス張りの空間を見て、この空間を最大限生かせる新たな試みがひらめきました。今回は日本の樹木や植物の写真と、それらに合う12ヶ月の季節の流れを追った俳句(日本の俳人・芭蕉Basho 1644 – 1694・一茶Issa 1763 – 1827・虚子Kyoshi 1874 – 1959の作や自作)を日本語の書Kalligrafieとそのドイツ語訳で布に制作した大きな縦長の旗12枚(12 Fahnen各・高さ3,00 m × 幅1,05 m)をウィンターーハレの天井から吊るすインスタレーション(Installation)で、入り口から時計回りの流れに沿って一巡できるように、プレゼンテーションします。1月は青森七戸の樹齢750年以上のイチョウGinkgo、2月は宮城県のケヤキKeyaki、3月は愛知県名古屋城のサクラKirschblüten、4月は京都清水寺の枝垂れサクラHänge-Kirschblüten、5月は日本ツツジJap. Azaleen、6月は白牡丹Paeonien、7月フジGlyzinien、8月は青葉と実をつけた岡山県・誕生寺の大イチョウ、9月は兵庫県医王寺の竹薮Bambus、10月は永平寺の庭、11月は愛知県香嵐渓のモミジAhorn、12月は徳島県地蔵庵のイチョウです。北日本のイチョウから始まって西日本のイチョウで結びます。この旗のインスタレーションは、時の流れや春夏秋冬を通して自然と人間とのふれあいを源に、写真と共にドイツでも広く浸透した5・7・5の短詩・俳句で構成しました。天井から吊るされた12ヶ月の植物と俳句が組み合わされた旗は、地球太古の樹木・イチョウから始まっていろいろな植物を巡り再びイチョウに戻るプランで、来場者は同時にこの会場の地上に設置されている邦彦の彫刻作品「生き物」のシリーズを見ながら、再び自分が入ってきた位置へと帰還する事になります。自然や植物の観察を通して、例えば発芽・成長・開花・結実・枯死そして再び地に戻り新たな生命の源へと展開する様子は、まさに生きる物すべてにあてはまる自然な循環として、人間の生命にもたとえられます。

この展覧会を通して、ほんの少しでも生命のいとおしさや自然の多様さに眼を向け心を開いて、大切にして行く想いを育むことができればと考えています。

オープニングは、7月24日、金曜日18時からニンフェンブルグ植物園の中に在る植物学大講堂で行われます。
植物園長のスザンネ・S・レンナー教授、バイエルン州立自然科学博物館館長のゲルハルト・ハスプルナー教授、在ミュンヘン日本国総領事館の小菅淳一総領事、ミュンヘン植物園同好会・会長のユルケ・グラウ教授、バイエルン州文部科学省のフリードリッヒ・ヴィルヘルム・ローテンピーラー博士による各御挨拶の後で、在独日本女性コーラスグループ「華」のメンバーで日本の植物や四季自然をテーマとした歌を合唱していただきます。

なお展覧会期中に、9月6日の日曜日14時から、加藤邦彦・温子により会場にて特別案内も行います。

開催時間は毎日、7月から8月は9時から18時30分迄、9月は9時から17時30分迄
交通機関 ミュンヘン駅から市電17番、あるいは市バス143番で、「ニンフェンブルグ植物園」で下車、すぐ正面です。
植物園のホームページ http://www.botmuc.de/ のProgrammも御覧下さい。